人生の第三コーナーの衣食住

ライフスタイルブログ:インテリア、家のメンテ、ソーイング、失敗続きのパン作りなどをつづっていきます

ホテルの評価を考える――ホテル業界の方に読んでもらいたい、潔癖症のつぶやき

ヤフーでは、私の関心を反映してか首都圏近郊ベストホテルとか、京都で評価の高い旅館、とか流れてくる。クリックして全文を読もうとするから、次からもホテル旅館関連の情報が向こうからやってくる。

 

国内外の色々な宿泊施設に泊まった。大衆的なところはもちろん、それなりに高級宿も。

とは言ってもが、せいぜいひとり1泊二食付き10万円ちょっと。後述の強羅花壇、修善寺あさばである。昨今話題の一泊100万円のブルガリホテルとか、仁和寺貸し切りなんて、多分今後も泊ることはないだろう。

 

JR西日本寝台列車瑞風は2泊3日のコースだと、一泊40万円くらいだが、観光も朝昼晩の食事も移動もコミコミの値段。部屋だけではない。

 

結論は、

  • 広すぎる(従って高額の)客室は居心地がよくない、
  • 美味しい料理も配膳のタイミングやお茶の温度により満足度が下がる、
  • 潔癖症の者にとり、温泉大浴場の共用足ふきマットは不潔に感じる、

等々と自分のこだわりを追求していると、泊まるより、日帰りで、自然豊かな場所にあるプロが丁寧に調理した上質な料理を食べに行くのが正解、ということに気づいた。

それでもなお遠出して泊まるには相応の理由が必要だ。

 

宿泊施設の評価基準は個人の嗜好で大きく異なる。私はウルサイ。

  • ロビーの雰囲気(バスに乗ってくる団体客を迎える大型ホテルのカラフルな、臭いが染みついたカーペットは苦手。クラブツーリズムや大人の休日倶楽部が「厳選」したというちょっと贅沢な宿でも、この類。そらそやろ、団体旅行に参加しているのだから)
  • 煙草の臭い、ゲーム機器、ガチャの販売機、カラオケ設備。いずれもOUT。
  • 客室の広さ(不必要に広いと、かえって居心地が悪い)
  • 料理(東京、京都、大阪なら、街中に豊かな食材を使ったレベルの高い料理店がある。なぜ、遠出する必要があるのか?カニノドグロ、クエも東京に運ばれてくる時代に。)
  • アメニティ(使い捨ての歯ブラシはどんな高級なものでも、いつもの歯ブラシの使い心地には及ばない。自宅ならパナソニックのジェットウオッシャーがあり、食後のお口スッキリ。シャンプー等は宿のものが気に入って、その後自宅でもずっと使うものがある。松山油脂Leaf&Botanicsのディスペンサーのデザインもラベンダーの香りも長野安曇野の旅館「なごみ野」で発見)
  • 温泉の質(わからん。厳選かけ流し、と言われたって効能は不明。街中の温泉施設でも、地方の温泉湯を運んできている(?)と謳うものもある)
  • エステ、マッサージ(客からみての一見さんの技術より、近所のいつもの人の方が上手なことが多い。ホテルや温泉宿ではまずアカスリサービスはない。それに、せっかく旅先で肩こりをほぐしてもらっても、帰りの車や電車で数時間座るとまた凝る。近場に限る。)
  • 立地(東京では雪国の露天風呂の雰囲気はまず望めないから、これは遠出する価値がある。たまに雪が降った日に東京近郊の日帰り温泉までノーマルタイヤで運転したり、公共交通機関で出かけたりすると、事故に巻き込まれそう)

 

わざわざ時間と交通費をかけて、遠方に泊まりにいくには、求めるものがあってこそ。その求めるものは何か?

  • 非日常
  • 静謐
  • 比類ない景観
  • 地元食材を生かした料理

 

秘境の山あいの緑、小川のせせらぎ、渓谷、雪景色、オーシャンビュー、離島。

こういう絶景の地は行くに値する。料理が美味しい上質な宿がそこにあればなおさらだ。フランスの地方のミシュラン星付きオーベルジュなんて、周りはなにもないけど、その宿に泊まり、食事をすることだけが目的になっているものも多い。

都会やその近郊の温泉施設は混んでいる。伊豆・箱根は道中の渋滞からすでにストレスが溜まる。高速道路はブツブツに分断され数10キロごとに料金を払い、おまけにETCも使えない部分がある。

上質な雰囲気の温泉を望むなら、かなり足を延ばす必要がある。客が簡単に来られないほど不便なところで美味しいものが食べられる、とは難易度が高いが、行ってみたい。

客層も大事だ。他の客の会話内容など聞きたくないし、静かなはずの大浴場でやたらと洗面器の音を立てる客と一緒になると気が滅入る。

 

食事

美味しいか美味しくないか。が、これは味だけの問題ではない。

配膳スピード、タイミングが味の良しあしに影響する。

客はお腹を空かせているのだから先付は早く出す。着席前に用意されていてもいいくらいだ。当然、作り置きがきく冷たいモノになろう。が、干からびていては駄目。

その後の煮物や揚げ物は適度な熱さで、ステーキやなべ物のような熱いモノは十分熱く、が当たり前のサーブ方法だが、これがうまくいかない施設もある。厨房と配膳係との連携がうまくいって初めて、客の満足度は上がる。

甘みのある料理、酢の物、塩気のある料理を飽きないように組み合わせる。野菜、魚、肉の組み合わせも大事。料理人は出す料理の構成を吟味するが、自分の手元を離れた皿が、給仕する人たちがベストの状態で客の前に提供してくれるかまで、見届ける心意気が必要だ。

飲み物を出すタイミングも大事。私はアルコールは全くダメなので、お茶と水にしかコメントできないが、熱すぎるお茶では、最後の香の物を楽しめない。

食事も後半になると、すでに空腹は満たされているのだから、客の側が食事のペースをコントロールして、配膳サービスに合わせるのがストレスフリー。が、このタイミングで急にどどっと複数の品を持ってくるところもある。

 

料理長は、給仕の人たちに客が食する料理を食する機会を与え、舌を超えさせ、どういうタイミングで出せば自分が丹精込めて作った料理が、最高の状態で味わってもらえるか経験してもらう必要がある。アルバイトだからいつも簡単な賄いを食べさせておけばよい、とはいかないし、日本料理に馴染みのない外国で生まれ育った人では限界があろう。日本全国いずれも接客の上手な人材確保が難しいのは同じだが、やはり都会より山奥の方が難易度が高そう。

 

奈良県十津川村にあるホテル昴は、山奥の秘境にも関わらず、非常に上質な料理が選び抜かれた上品な器で提供されたのは嬉しいおどろきだった。が、給仕のフィリッピン人の女性は、メニューについての質問に答えられなかったし、二日目のアクがなくサシの入り方が絶妙な大和牛のしゃぶしゃぶは、ポン酢だけではなくゴマダレでも食べてみたかったが、彼女にゴマダレは通じなかった。

 

部屋は広ければよいというものではない。

軽井沢から少し離れた御代田にあるHIRAMATSUの部屋は広すぎる。重い引き戸がベッドルームからホールまで一回、更にホールを抜けて洗面まで一回開け閉めする必要がある。クローゼットにも重い引き戸が2-3枚重なっていた。一泊でこんな大きなクローゼットは要らない。全体に動線が悪かった。

 

ベッド

これも大きければよいというものではない。

クイーンサイズのベッドの真ん中に身を横たえると、サイドテーブルの照明や、スマホの充電のための電源はベッドの端まで移動しないと操作できない。結局端の方で寝ることになる。

ヘッドボードに少し広さがあり、照明や充電プラグ操作機能が頭の上に設置されている現代的なホテル用のベッドもあるが、味のあるアンティークベッドではサイドテーブルは必須になる。

 

海外のホテルだと、厚さ40センチくらいのマットレスを二枚重ね、足を含めると床から1メートル近い高さのベッドによじ登らなければならないものがある。百貨店の寝具売り場で見かける、ラルフローレンのべッドディスプレイはこの類だ。

クイーンサイズの背の高いベッドは、確かに「非日常」だが、私にはこんな「不便」で「寝心地の悪い」非日常はパス。

 

適度な広さの部屋に、日本人の体格に合った大きさ、高さのベッド。水回りは寝室からダイレクトに出入りできるen-suiteがいい。

 

寝具(シーツ、枕、かけ布団)

空調完備で、夏でも冬でも室内温度は適温だから、年中羽毛布団で通す、という宿もある。が、夏は薄手の軽いかけ布団にシーツは麻、冬は厚めの若干重みのあるかけ布団に綿100%のシーツがいい。カシミヤのシーツもあるらしいが、暖房が効いていれば綿のシャリ感が快適、と感じるのは私だけか?

何よりもシーツだけでなく、布団も枕も定期的に洗って頂きたい。安宿では枕が臭いことがある。

 

クッションの置き場所

ベッドの場合、洗いたての枕カバーを付けた枕の前に色物、柄物のクッションをいくつも並べていることが多い。装飾のためらしいが、クッションカバーは毎回洗っているとは思えず不潔だ。ベッドメーキングの際、これらクッションは邪魔だと、ソファに置くこともあるだろう。電車の席はもちろん、客によっては地面に座ったスカートやスラックスでホテルのソファに腰掛ける。こんなところに一旦置いたクッションを、洗いたての枕カバーを付けたばかりの枕に重ねて並べるのは御免。おおざっぱな清掃係だと、ベッドメーキングに邪魔だと、床にクッションを放り投げている可能性もある。客は枕に顔を付けるのである。

THE HIRAMATSU軽井沢御代田の大きすぎる部屋とベッドと無用のクッション

 

タオル

外国のホテルでは、大きくて重い割に吸水力のないバスタオルがおいてある。

今治タオル、泉州タオルのバスタオルはしっかり吸水力があるが、日本のバスタオルのサイズでは中肉中背の私でももう少し大きいといいな、と思うことがある。旅先なのだ。自宅のものとはちょっと違うのがいい。

 

十津川村のホテル昴の食事は大変美味しかった。最寄りの鉄道駅から4時間以上もバスに揺られてやっとたどり着けるところだ。フランスのミシュランオーベルジュのように、その宿の食事をするためだけに何時間もドライブするに値する料理だった。初めて食した大和牛の美味しさも嬉しい発見。

が、部屋に置いてあったタオルは大げさではなく雑巾のようだった。何度も何度も洗濯した水色のタオルは色あせ、ネズミ色になり、縮んでいる。柔軟剤の使いすぎか、吸水性はなく、乾燥機で縮んで小さくなり、中肉中背の女性の身体に巻くのもギリギリの大きさ、柔軟剤のせいでつるっと滑り落ちる。

フェイスタオルもよくあるオレンジ色で、こちらはバスタオルほど劣化していなかったが、吸水性がないのは同じ。新品でビニール袋に入っていた薄いタオルが、唯一まともな吸水力があった。温泉の中に持ちこむことが想定されているタオルだ。

浴場の脱衣室で、別の客が脱衣かごの上に、ふかふかそうな白いタオルを置いていたので、湯上りにフロントで、「このタオルしかないのですか?」と水色がネズミ色に近くなったタオルを見せて聞いてみた。比較的新しい白いタオルを選んで交換してくれた。

リネン会社が配達してくるタオルを、色も、色あせも、材質も、大きさもいっしょくたにして、適当に客室係が部屋に置いているのだろう。劣化し過ぎて、客に出すに忍びないタオルだと客室係が感じたら、マネージャーに進言すべきなのだが、そうならないのはビッグモーター化?あるいは、客室係は自宅でこんなタオルを使っているのだろうか?

なお、チェックインの際、浴場には部屋のタオルを持参するように言われた。二泊目のタオルは白かったが、縮んでおり、おまけに畳に直に置かれていた。潔癖症の自分は、旅になど出ず、自宅で地べたに置いたりしないお気に入りのサイズ、吸水性のタオルで入浴すればいいのだろう。が、宿泊を生業とし、十分すぎるほどの対価を要求しているのだから、やはり最低限の配慮は欲しい。

 

海外なら、ベッドスローという長い布がベッドの足元近くに掛けられていることがある。この布は、靴を脱ぐ習慣のない人が服のまま、靴のままベッドに横たわる際、シーツが靴で汚れないようにするためだという。この履いたままの靴を乗せる布の上に、わざわざたたんだタオルを置いている施設が日本にも海外にもある。洗面所のタオルハンガーにかければ済む話なのに。

 

温泉

自分には温泉の良しあしを判断するには知識がなさすぎる。が、湯舟の広さや湯の温度、洗い場と内風呂、露天風呂の配置の動線に無理がないものがいい。開閉する扉が重すぎて、裸足を傷つけるのではないか、と怖くなる浴場もある。

シャワーは洗いやすい高さにお湯の吹き出し口があるか、お湯の強さは適当か、なんて気にせず自然に使えるのが良い設備なのだろう。使い勝手が悪いと記憶に残るものだ。

共用大浴場だから足ふきが共用なのは仕方がない。これがいやなら、自室に温泉が引かれている部屋を選べばいいのだ。潔癖症の者は、サービスしてもらっているのだから、とできるだけ目をつぶらなければならない。

 

バスローブ

大抵サイズが合わない。厚くて、硬くて、重い。吸水性も低い。白が薄汚い色になっているものを置いている施設もある。

バスローブで水気を拭きとるわけではないので、ローブはタオル地である必要はない。入浴後、化粧水をつけたり、髪を乾かしたりの身繕いしている間の着衣としては、薄手の綿のローブが軽くて心地よい。夏に限らず、軽いワッフル素材もいい。成田空港で外国人旅行者用に売っていたガウンやローブとしても使えるヒモつきの綿100%の浴衣もいい。ヒモは、旅館で提供される浴衣の厚手の帯ではなく、同じ布地の紐で十分。これなら、ローブと一緒に洗える。洗濯に必要な水や洗剤、光熱費も節約できるだろう。

ちなみに、高級旅館でも寝巻用の帯は、毎回洗濯しているわけではなさそうだ。前の宿泊客が鼻をかんだ手で結んだ帯かもしれないと思うと、気持ち悪い。

ま、そんなことを言い出すと、テレビのリモコンからドアノブからあらゆる手に触れる場所を自分で消毒して回らなくなり、宿に泊まること自体がストレスになる。

 

トイレ

もう20年以上、トイレが共用の宿には泊まっていない。若い時は共用部の多いペンションでも気にならなかったのだが。少し値段が高くても旅館ならトイレ付の部屋を選ぶ。ホテルは、たとえユニットバスでも自分用のバストイレ付きでないと気持ち悪い。

旅館の自室トイレに、引き戸ではない、手前に引く扉を開け、足元にトイレ用スリッパを見つける瞬間、毎度のことながらうわっと思う。まず、今履いているスリッパを扉の開閉の影響を受けない、ちょっと遠い場所に脱いで、それからトイレ内のビニールのトイレ用スリッパに履き替えることになる。トイレ用スリッパは消毒してあるのだろうが、保証の限りではない。前の客に座って用を足さない男性客がいたとしたら、尿はトイレ内のあちこちに飛び散っている。こうなると、自宅に引きこもっている方がストレスが溜まらない。繰り返す。鷹揚でないと旅には出られない。

 

枕元の照明

洋室ならベッドの横にサイドテーブルがあり、照明器具がおいてある。狭いビジネスホテルでは、場所を取らないようベッドそのものに照明器具がビルトインされている。

問題は、和室に布団のケース。

もう10年近く前になるが、長野県松本市郊外の高級とされる扉温泉明神館で、畳に敷いた布団の横に置く照明器具を求めたら、小学生の勉強机に使うような横長の白色灯のシェードが金属製の照明器具を持ってきた。和室用の高さ30センチほどの白木や竹でできた照明器具は、ヤマギワ電気にいけば何十年も前から販売している。今ならネットで「和風照明器具」と検索すればより取りみ取り。電気のない時代でも行燈、というものがあったはず。

加えて、「高級旅館」明神館の従業員が、靴を脱いで畳の部屋に上がってきた途端、足なのか靴下なのか強烈な臭いをしたのは、冗談を通り越し、悲しくなった。改善されたことを祈る。

 

十津川村のホテル昴のことに何度もふれるのは、ほんの2か月前の滞在だからだが、期待度が高いことも理由だ。ほんの少しの工夫と努力で、山奥の、迂回してでも行ってみたいホテルになるポテンシャルがある

昴の提供された和室には枕元照明がなく、フロント係は何とか木製の照明を探してくれた。が、残念なことに手元にスイッチがなく、プラグを抜き差ししないと点灯、消灯ができない。布団を自分でプラグのそば、すなわち部屋の端に引っ張っていった。でないと、天井のまぶしい白色蛍光灯を消すために部屋の入口近くのスイッチまで歩き、暗い中わずかな非常灯を頼りに(あるいは自分でスマホのライト機能を使って)布団に戻るしかない。夜中に手洗いに行くのも、不便。非常用の懐中電灯で代用しようと枕元に置こうとしても、なぜか壁からはずれなかった。

和室の場合も洋室のベッド横のように照明設備とスマホの充電用電源を用意する配慮が欲しい。客を泊める、ということは、こうした細かい配慮が必要だということがわかっていない宿が結構多い。一番配慮が行き届いているのは、大手ビジネスホテルチェーンかもしれない。狭い部屋に、コックピットのようにすべての機能を凝縮させている。アパホテルは社長の帽子とその旦那のむき出しの嫌韓嫌中姿勢は苦手だが、ホテルとしてはよくできているようだ。

従業員の足が臭かった明神館は松本からバスに揺られるのだが、松本市内にあるホテル花月は、ビジネスホテルよりずっと部屋も広く、夕食のテロワールと称するフレンチは美味しく、朝食ビュッフェも行き届いたメニューの素敵な老舗ホテルだった。地元の作家による食器もおしゃれ。地下には浴場もある。何度も泊まったが、多分私にとってこういうサイズ、料金、料理の質のホテルが一番満足度が高いのだと思う。

 

滞在して泊まるということは、客は全身をその施設にゆだねるということ。食事だけなら、感じる部分はテーブル、食器、ナイフフォーク、箸、ナプキン、そして手洗いで、滞在は2―3時間程度に限定される。宿となるとたとえ一泊だけでも20時間近く、客の生活習慣や好みと、施設が提供するハードやソフトが対峙することになる。浴場も寝具も肌を直接つける設備である。長時間にわたり、客は全身で宿泊施設が提供する心遣いを感じるのだ。

 

最後に、良くも悪くも記憶に残っている国内のホテル、旅館のいくつかへのコメントを記しておく。扉温泉明神館、松本花月ホテル, THE HIRAMATSU軽井沢御代田は上記の通り。

十津川村ホテル昴

何度も言及したのは期待値が高いから。文字通りド田舎なのに、腕のいい料理長を誇れる第三セクターの宿。雑巾タオルと照明器具さえ改善すれば評価はドンと上がる。ちなみに寝具は大変気持ち良かった。

星のや軽井沢

残念ながら料理は美味しくなかったし、バリアがいっぱいの部屋の構造も不可思議。動線も複雑で居心地はよくなかった。

界アルプス

同じ星野グループ運営。地元食材を使っていたが、料理ははっきり言って不味く、案内の若い女性は感じが悪かった。真冬に浴場にいくのに、一旦部屋を出て寒空の中、別の棟に移動する必要がある。余談だが、マッサージを頼んでノックされた扉を開けたら、若い凄いイケメンが立っていたので、ちょっとドギマギした。

強羅花壇

料理は最高に美味しかった。が、チェックイン手続きを済ませて、部屋に案内してもらおうとすると、男性従業員が担当の女性の仲居に耳打ちし、何やらもめている感じだった。客の私たちが問題なのかと不安になった。

ザ・ウインザーホテル洞爺

客の面前での従業員同士のコソコソ話といえば、このホテルの朝食受付の若い女性二人がひどかった。業務連絡でもなく、客の私についての品定めに思えて非常に不愉快だった。フレンチの夕食もコクがなく、温泉は3時過ぎにチェックインしても5時からしか使えない。しかも部屋から大浴場に行くには、上り坂の廊下をふくめ10分近く(!)かかるのである。11月下旬の北海道廊下は寒い!

修善寺あさば

温泉利用時間の遅れは、この有名旅館でも残念だった。完全なお湯の入れ替え日に当たったらしく、この点は衛生上の理由だから大目に見てあげたいが、チェックインの際にお湯張りが遅れていることに注意喚起がなかった。浴場にむかったのは4時頃になっていたが、半分位しかお湯が溜まっていなかった。高額の部屋の担当者は和服、そうでない(と言っても高いのだが)部屋係は昭和の地方銀行のような制服、という階級意識

料理は珍しい食材を丹精込めて提供されていて満足。最後に出された大粒のいちごの甘みに感動。いちごは色、形は出色の果物だが、糖度が高いとされる「あまおう」ですら甘みに欠けると思ってきた。相当品種改良しているのだろうが、こうした非日常の食材に出会えるのも高級旅館、レストランを試す妙味ではある。

有馬温泉月光園

近畿地方の会社の慰安旅行に使われていたのだろう。今時全室喫煙可。禁煙部屋の設定がない。それでも、そこそこ評価の高いホテルになっているらしい。部屋が広いのは慰安旅行で8人とか10人とかを布団を並べて詰め込むため。一人当たり料金は割安になる。大人数の全員がタバコを吸うこと何十年、染みついたニコチンの臭いは、消臭剤や空気清浄器を使っても消えるものではない。JR東日本の「大人の休日倶楽部」の「贅なるひととき」と銘打つ旅行に参加したらこの宿だった。今時、全室喫煙可、禁煙部屋の全くない宿を「厳選」するなんて・・・

白馬村ラネージュ東館

月光園の嫌な思い出を打ち消すために、最後にもう一度泊まってみたい宿を上げておく。適当な広さで、水回りはen-suite。夕食も朝食も最高だった。やっぱり宿は企画旅行のお仕着せのものではなく、自分で選ぶものだ。次に泊まる時は、前日に電話して枕に色物のクッションを並べて置くのは辞めて欲しい、とお願いしよう。

ラ・ネージュ東館の枕に重ねられたクッション。

(2023年7月31日記)