人生の第三コーナーの衣食住

ライフスタイルブログ:インテリア、家のメンテ、ソーイング、失敗続きのパン作りなどをつづっていきます

「ひきこもりの日記」―「断捨離」「ビフォーアフター」番組は、ちょっとおバカな人がいるから成り立つ

ヤフーニュースで、「すべて」の項目を選択すると、時事ニュース以外に勝手に私の興味を反映して、家事や不動産、インテリアについての記事を送ってくる。

 

紙の雑誌を買って記事を読んでいた頃にくらべ、ネットの記事はデスクや編集者、校正担当のいないライターの冗長な文章に出くわし、読み始めてすぐやめることも多くなった。このブログも、ダラダラ長いのに肝心の知りたいことは不明、とならないよう自戒しながら書かねば。

 

毎日の家事にもリテラシーの違いが現れる

他人に助言する仕事は、リテラシーの低い人がいてこそメシの種になる。

投資アドバイザー(しばしば投資詐欺師)、ファイナンシャルプランナー(光熱費、通信費、生命保険料、サブスクの固定費見直ししか言わない)の意見を参考にするには、ファインシャルリテラシーが必要だと言われる。「必ず儲かる」、「年利10%保証」等の非現実的な言葉に騙されない基本的な常識を身に着けないと、簡単に大金を持っていかれ、借金だけが手元に残る

 

投資と比べれば、あまり実害の無いテーマだが、家事アドバイザーの意見を参考にするにも、それなりのリテラシーが必要だ。

 

自分が時間のたっぷりある退職者になり、自分より家事経験の浅い人やその人を褒めまくるライターの提灯記事にウンザリすることが多くなった。コロナの引きこもり生活中、家事の腕がかなり上がった。

 

食器を減らすよう助言する人

確かに少ない方が場所を取らないし、重たく割れると鋭利な破片になるものだから、地震の時に危険。が、食洗器を使うか使わないかで必要な食器の量は異なる。家族の数が少ないと、毎日食洗器を回すこともない。となると、コーヒーカップや湯のみ、小皿などは複数枚必要になる。「食器を減らしましょう、好きな食器だけ1セットあれば十分」は参考にならない。好きな食器の縁に金が塗られていたり、漆塗りだったりすると食洗器には使えない。

 

少なくした「お気に入り」の食器を地震対策もせず棚に飾る人

ある料理研究家は少なくなった食器を扉のない棚に置いて、スッキリとか言っている。地震大国の日本で!そんなライフスタイルを写真入りで紹介する同じ雑誌の後半で、食器の飛び出し対策を含めた防災特集を組んでいたりする。

 

食洗器はドイツのMIELEミーレだと推奨する人

狭い日本の台所で幅60センチの海外メーカーの製品は大きすぎるし、値段も高い。推奨するセレブは、ミーレのものは日本のメーカーの食洗器より汚れが落ちやすい、と科学的根拠を提示せず、感覚的に断言している。ライターは何の疑問もなく、受け売り提灯記事

 

食洗器を選ぶ基準は、個々人の食生活による。経済産業省通産省)の人から、日本のメーカーは茶碗にこびりついた米粒をよく落とせることに研究を重ね、製品改良してきた、と聞いたことがある。欧米人が毎日食べるのはパン、たまに口にするコメは粘りのない長粒米(アンクルベンやタイ米)。食洗器の必要な洗浄能力は、油(バターやチーズ)を含む食材中心か、でんぷん質の粘り気中心か、に左右される。

 

大皿に肉を切り分け、付け合わせ野菜も同じ皿に盛る食事スタイルのドイツなら、直径25センチ以上の皿を入れる部分を大きくする必要があるだろう。サラダも15センチほどの平皿でナイフとフォークで食べるのだ。箸を使わず、融点の低い羊の肉や脂身の多い豚の固まり肉を食べる生活の日本人は少ない。

 

パナソニックの幅45センチの食洗器を23年使い続けている。食器を入れるたびに、茶碗や小鉢、小皿の部分が先に埋まっていき、大き目の皿を入れる部分はスカスカ。コンロの五徳やパーツ、電子レンジの回転皿、ネスプレッソマシーンのパーツまで大皿部分に入れてできるだけ満杯にして、食洗器をかけるようにしている。

食べ終わった後、捨てるティッシュやキッチンペーパーであらかじめ汚れを落としたり、茶碗に水を注いでしばらく置いて、食洗器に入れる前に家事手袋を使ってサッと粘り気のある米の残りを洗い流したりするのは、食洗器の性能を発揮させ、時短モードで節電、節水して食洗器を使いこなす上で大事な「ひと手間」である。これもリテラシーのひとつだろう。小さな話だが。

 

ミーレはいい!と断言する人の知性を私は信用しない。

 

電子レンジとオーブン併用は不便

ちなみに回転皿のある電子レンジの方が小型なので、小さい台所向き。回転皿のないオート機能の電子レンジは重くて大きく、自動機能もあてにならない。牛乳を毎回吹きこぼれなしにレンジで温められた人がいたら脱帽もの!スチーム調理、オーブン機能付きの電子レンジは、一人では持ち上げられず、地震の時は凶器になる。

それに、オーブン機能を使い、庫内が200度以上になってしまった後で、電子レンジを使うのは怖い。やけどをするかも知れないし、普通の陶器では高熱で割れる心配がある。

後述するマッキンゼー出身のちきりんさんが、家電は単一機能の方をお勧めする、と書いていたが同感。彼女は、洗濯・乾燥は別々の製品をふたつ買う方が時短になると主張する。オーブンレンジも同じ。小人数の日本人の家庭なら、大き目のオーブントースターと電子レンジをそれぞれ持てば済みそうだ。

 

ルンバやダイソンで絨毯の房がボロボロになった

40年使っている職人が編んだホウキだけで掃除は大丈夫、何て豪語する70代女性!掲載されている写真には、板の間だけでなく絨毯もしいてある。こんな記事に騙されて、高いホウキを買う人もいるかも知れない。

 

やっぱりゴミは平行移動させてチリトリに入れるだけでなく、吸い込むことも必要なのだ。電気掃除機は、昔の人が苦労した、間に入り込んだゴミをとる文明の利器。使わない手はない。

もっとも、お掃除ロボットでは限界がある。モノをあまり置いていない広いフローリング向き。ダイソンは吸引力が強い、と言われるが、重いし、紫、黄色という不思議な反対色で高価。狭い日本の家屋では、充電して稼働できる時間の長さを誇る必要もない。玄関で靴を脱ぐから、家の中に入ってきた砂や泥を吸い込む必要もない。マキタの軽いコードレス掃除機で大抵は間に合う。

我が家にはダブルコートの犬がいて、冷暖房のきいた室内にいるので年中換毛期。絨毯にくっついた毛(仰向けになって背中を自分でこすりつけていることもある)は、さすがにマキタでは難しい。そこで、パナソニックのコードレス。犬の毛をグングン吸い取ってくれる。

小さなホウキは、掃き出し口、窓のレールに役に立つ。

 

ルンバとダイソンでボロボロになった絨毯の房は、コロナ勃発当初、トルコ人の絨毯業者に補修してもらった。もうボロボロにはしないぞ、と房は絨毯の裏に織り込み、パナソニックの掃除機をかける時、巻き込まないようにした。少し房が表に出てきたら、一旦掃除機を切って、裏に織り込んでから再開。人間の知恵が必要なのだ。ChatGPTでは対応できない。

 

人生にはお掃除ロボットを重宝する時期もある

ルンバに頼ったのは、フルタイムで働いていた子育て期間中、今よりずっと広く、床がすべて絨毯の賃貸住宅に住んでいた頃。忙しいから頼らざるを得なかった。退職して時間があれば、丁寧な暮らしができる。家電開発業者はこれからもお掃除ロボットの性能に工夫を重ねていくのだろう。自分で掃除をするのも億劫な年齢になる頃までに、AIが今より賢くなって、房のある絨毯を除けるようになって欲しい。

 

確かに家事に関する記事で参考になることもある

それでも、編集者が精査したはずのレタスクラブESSEの記事を一応目を通すのは、時々参考になることがあるから。当たり前だけど、

 

床に置くものを少なくするーールンバを使わず、自分で掃除機かける時も楽だ

重い厚いマットレス(シモンズとか)は捨てて、三つ折りで自分で運べるものに換える

等々

 

雑誌ではない単行本だったが、わざわざ「人生がときめく片づけ」と銘打ったこんまり本の、「たたんで立ててしまう収納術」は、箪笥だけでなく冷凍庫や他の収納箇所でも役に立つ、普遍的な助言だ。

 

家事の手ほどきは母から娘への時代、家事の作法の違いで姑にいびられる時代を経て、娘だけでなく息子もキレイ好きな男親の背中を見ながら習得する時代になった。以前は姑のやり方に反発して険悪になったのだろうが、今はネットの記事で、このおばあさんの家事のやり方はズレてる、おかしい、とか勝手に思ってこんな風にブログに書いていれば済む。

 

世の中知識格差、想像力格差で回っている

「断捨離」や「ビフォーアフター」の番組も、生活を整えるリテラシーに欠けるちょっとおバカな人がいるから成り立つ。どうしてあんなにモノを貯め込むの?どうしてこんな使い勝手のわるい寒い、暑い家に住み続けてきたの?と思う勿れ。賢い人ばかりでは、アドバイザーのメシの種が無くなる。

 

もっとも超賢い勝間和代やちきりんといったマッキンゼー出身の人も、家事についてトンチンカンな意見を述べていることもある。

勝間さんの「育毛剤、英会話力向上はコンプレックスビジネス」「コーヒー1杯が○○円以上なら高いと判断する」等々、教えられることも多かったが、調理家電の間に何台ものタブレットを置く生活にはついていけない。ちきりんさんの家電は単機能のものを、という意見は参考になるが、壁紙や家電についてのこの人の色彩感覚の欠如はアチャー!

 

賢い人も、全てに才能があるわけでないから面白いのかも。

2023年3月26日記