人生の第三コーナーの衣食住

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「ひきこもりの日記」――サスペンス番組2性暴力

西村京太郎没後1年ということで、十津川警部や鉄道捜査官のトラベル・ミステリーがBS朝日で再放送されている。朝日だけかと思っていたら今日はBS-TBSで3時間(!)スペシャル。ま、花粉で出歩けないひきこもりばあさんの暇つぶしにはいいか。

 

今日の十津川警部役は内藤剛士。警視庁捜査一課長はじめ刑事役のイメージが強いが、以前は塀の向こう側の役も演じていた。高橋英樹以外に老けてからの渡瀬恒彦パワハラ気味の十津川キャラで高島政宏も演じている。

 

今日の「浜名湖殺人ルート」では好みの女性を連続して狙う金持ちの御曹司が出てくる。

こんなのに目を付けられたら本当に災難だ。

セクハラ専門弁護士がセクハラしたり、女子だけでなく男子生徒を狙う教師がいたり、世の中危険が一杯。

 

闇バイトを使った強盗(殺人)事件が連日ニュースになり、狙われないようにする防犯対策は元刑事がテレビで伝えてくれている。しかし性犯罪に合わないための助言や教育は十分なのだろうか。

 

自分の長い人生を振り返ってみると、たまたま深刻なストカー被害や性犯罪に合わず運が良かっただけに過ぎない。日本国内だけなく、フランスの田舎町の人通りの全くない国道を歩いたり、米国ロスアンジェルスでタクシーに乗ったりしたが、よく無事だったと思うことがある。親からも学校からも、もちろん勤め先からも、最悪の場合を想定して行動せよ、という教育、助言を受ける機会は全くなかった。

 

痴漢被害は、小学校高学年の大阪城天守閣が人生最初だった。当時の入れ替えのない満員の真っ暗な映画館で立ち見していたら、変なモノをつかまされて気持ち悪かったのは中学生の頃。大学時代の下宿生活での下着泥棒被害、京都四条通南座バス停留所では、自転車に乗ってわざと女性の胸の当りを狙って肘をぶつけながら去っていく男。市営バスの中では、わざと乗客の若い女性にぶつかりながら降りていく男。セクハラは外務省入省後何度も経験した。

こんなこともあった。残業してタクシーに乗って帰ることになった時。タクシー運転手がわざとスピードを出してカーブを曲がり、後部座席で身体の揺れを抑えようとしていると、バックミラーをみながら「怖いの?」とにやついた声で聴いてきた。今なら運転手の名前を控えて、タクシー会社に契約を発注する会計課経由で厳重注意してもらうという知識もあるが、若いころはそんな知恵もなかった。いやあってもあの役所のことだ、「男なんてみんなそんなものだよ」と諭され、「我慢が足りない」「ことを荒げるトラブルメーカー」と後ろ指をさされるのがオチだったろう。

 

今思い出しても結構な件数の多さと嫌がらせの多彩さに腹が立つ。

 

ジャニー喜多川の男色の噂、アイドル志望の美少年に対するハラスメントは公然の秘密だろう。日本のエンタメ界での影響力を考えると、カトリック教会の聖職者による男児に対する性暴力と比肩しうるスキャンダルだ。

 

男子にも女子にも、かなり若い、いや幼いうちからこうした被害を避けるための教育が必要だ。性善説にたって災いに合わなくてすんだ、などは完全に運を天に任せているだけなのだ。命綱を付けない綱渡りに過ぎない。

 

昨日の夏樹静子原作の「黒い帽子の女」では、二人のヒロイン床嶋佳子国生さゆりも養父や実の父親の性暴力の被害に合う。現実社会において表に出てないだけで、どれだけ同様の被害があるのだろうか。女の子とともに再婚する母親が、生活費を理由に夫の娘に対する性暴力を見て見ぬふりをするケースもあるようだ。

 

卑猥なことばを浴びせられただけや、ちょっと触られただけでもいつまで経ってもこれだけ腹が立つのだ。もっとひどい被害にあった女性(男性)の悔しさたるや。

 

LGTBは同性への性的嗜好を尊重する人権問題に焦点を当てることは必要だろう。同時に男女を問わず幼児の頃から性被害の犠牲になりうることを、もっと表に出して対策を考える時にきている。同性への性的嗜好は、同性への加害行為につながることもあるのだから。

 

幼児、未成年者保護より、もう少し組織的に対策を講じることができるのは、セクハラ、不倫対策だ。NHKのアナウンサーが同僚の女子アナのマンションを押しかけ、その部屋にいた別の男性アナと鉢合わせ、3階から飛び降り入院、退院を待って逮捕、というトホホな事件があったが、NHKはじめ、各企業、役所、団体の人事当局では、セクハラ、不倫について一般論ではなく、もっと具体的に自分が当事者になった時の心構えを教えるべきだ。

 

サスペンスドラマではちょっと滑稽な検事や監察医を演じる名取裕子だが、彼女の圧巻の演技は映画「序の舞」。駆け出しの女流画家上村松園が、画壇の先輩に性暴力を受けて未婚の母となった時、有馬稲子市川崑監督に言い寄られて妊娠し、堕胎を強要された時、水沢アキ森本レオの性暴力を告発した時、皆突然の想定外の出来事に多いに戸惑い、悩み、悲しんだはずだ。画壇も映画界もそして役所や企業も、あの時代から何も前進していない。そして、沖雅也が所属事務所の男性社長との関係で悩んで自殺した頃からも変わっていない。幼児の頃はもちろん、成人しても力関係から性暴力の被害に遭うこともあることに、男女とも心の準備が必要だ。

 

                          2023年3月5日記