高級食パンー掘っ立て小屋に大層なのれんをかけて粉モン売るかね?
小規模店舗が人気という
今朝5月26日のテレビ東京の「Newsモーニングサテライト」で、狭小店舗で稼ぐ例が紹介されていた。
2例目の世田谷区のカウンター席のスペインバルは、納得がいった。
オーナーシェフひとりで昼間は作り置きのピンチョス多数を用意し、夜はこれを給仕するだけ。コロナで飲食店が四苦八苦する中、人を雇う、高い店舗家賃を払うリスクを回避している。木を沢山使った内装は、狭くても感じが良さそうだ。
高級食パン店はいただけない
最初に紹介された高級食パン店は、銀行ATMを改装し、工場で作られたパンの販売だけをしているという。例によって店の名前は和風で、ロゴは毛筆書き。「乃が美」「銀座に志かわ」等々にならった(マネシタ)のだろう。
そうだ、この前用事で白金台に行ったとき、空き地にポツンと建てられた掘っ立て小屋で「高級」食パンを売っていたことを思い出した。プレハブで断熱など全く考えていない、工事費を最低限に抑えた狭小店舗。真四角なので、三角屋根を想定した「小屋」というのももったいない。コンテナそのものだった。
希少性のある時は、それなりに価値があった
高級食パンなるものを、合計5-6回買っただろうか?「乃が美」がまだ東京に進出していなかったとき、いずれも京都で買った。東京を留守にしていた時に、町内のゴミ当番をしてもらったご近所さんへのお礼にした。
1斤848円は食パンとしては高いが、東京では買えないという価値、かさばるし、それなりに重いものを京都から新幹線で持ち帰るのだから、ご近所さんには848円以上の価値を認めてもらった。もちろん紙袋に入っている大層な「能書き」を同封してのはなしである。
この店舗は京都の家の近くのさびれた商店街の、なんの変哲もないビルの一階の狭い店舗に、もっともらしいのれんを出していた。コロナ前から入店できるのは1名のみという人数制限。狭いから物理的に1名しか入れない。結果、通りに行列ができ、はやっているように見える。
行列ができるのは、半斤432円の方が先に売り切れてしまうからである。1斤は、午後3時になっても残っていた。確か朝10時半か11時ごろ開店だったと思う。
それほどおいしいのか?
半斤を買うために並んだ時、前の人と話す機会があり、結論は「騒ぐほど美味しくもない」で一致した。仰々しい「能書き」という目くらましに合っているだけである。
「能書き」によると生のまま食べるのがお勧めなのだが、物足りない。トーストして無塩の四ツ葉バターやカルピスバターを塗ると、パンの甘みとカリッとした表面、何よりも自分で用意したバターがしみ込んだ部分が一番おいしい。半斤100~160円のフジパン、ヤマザキパン、パスコでも上等のバターを使えば十分美味しいのだが。
マーケティングの勝利
どこどこの小麦、なんたらの生クリーム、塩等々だが、しょせんは工場生産の粉モンである。意図的に狭小店舗にして行列を作らせて、いかにも人気があるように見せる。当初は東京では買えない等々、マーケティングの教科書に取り上げられそうな要素満載で成功したのだろう。
ホームベーカリーでも美味しい
家電量販店でパナソニックの自動パン焼き器の前に、「乃が美」風パンのレシピを紹介するしおりが置いてあった。早速20年ほど前に買ったパナソニックのパン焼き器を出して焼いてみる。粉250グラムに砂糖35グラムはかなり多い。焼き色を薄めにする。レシピしおりには「乃が美はレシピを公表しておりません」と断っている。
味は、砂糖、生クリームやバターを反映していてしっとり甘くおいしい。市販品との違いはミミの部分だ。薄焼きモードにしても店で買ったものより硬く焼きあがる。それでも、材料を計量した後はほったらかしで2時間でできるし、材料費、光熱費を入れてもせいぜい150円。
いずれはタピオカ店のようになる
パンのミミが柔らかいことに価値を見出す人は一定数いるのだろう。食パンとしては値段が高いが、大きな1斤でも1000円以下で買えるのだから手土産には良い。恥ずかしながら、「それほどでも」と思いながら土産用にと行列を作っていた。
が、私はハード系パンの方が好きだ。パスコやヤマザキパンの工場生産のバゲットは比較的安いが、小さなパン屋では最低300円はする。24時間熟成と銘打った1本500円のものは細すぎて、硬くて全く美味しくなかった。硬さや香り、塩かげんなど個人の好みがあるから、それぞれの店が倒れもせずやっていけるのだろう。
だから自分で作るーバゲットや総菜パンにかける労力は食パンの比ではない
バゲットが上手に焼けるようになったことは、すでにブログに書いた。
ハード系ではないが、先日ピロシキを作ってみた。
本場ロシアで食べるピロシキはどういうものか知らない。閉店した渋谷ロゴスキーでは玉ねぎ、ミンチ肉を炒めたものに、細かく切ったゆで卵が入っている揚げパンだった。京都駅のグランディールは、ピロシキを売っている数少ないパン屋さんだ。こちらも揚げパン。
カレーパンはコンビニでも売っている。キーマカレーのカレー味部分を除いてゆで卵を加えればいいだけなのに、ピロシキを見つけるのは難しい。それほど人気がないのだろう。
みつけたレシピはバターロールの生地で作る。揚げないので油っこくなく、楽でいい。生地作りはパン焼き器に任せるのだが、1次発酵させて、こねあがったものを10等分するのは結構な作業である。プロはいちいち計量はかりにかけなくてもカンで等分に切り分けられるのだろう。切り分けた生地を丸めて均等に広げる。それまでに中身のミンチ肉と玉ねぎを炒めて冷ましておく必要がある。ゆで卵も冷まさないと。
具材も等分にわけ、パン生地で包んで成型し、二次発酵、そして焼き、と工程は食パンの比ではない。小さなパン屋では、こういう手作業を毎日やっているのだ。そう思うと総菜パンにかけた手間は大変なもので、1個250円は決して高くない。それに比べて、工場生産の「高級」食パン1斤848円は間違いなく
ぼったくり!
しかも、あの掘っ立て小屋で売って!
ぼったくりは英語でなんという?
アメリカの新聞が、IOC国際オリンピック委員会のバッハ会長のことを「ぼったくり男爵」と呼んでいると知った。もちろん日本語訳で見つけた。ぼったくり、って関西弁ではなかったかしら?俳優の沢村一樹のあだ名が「エロ男爵」、とは知っていたが「ぼったくり男爵」は英語で何て言うのだろう。
グーグル先生に聞くと
Rip-off Baron
なら、高級食パンは リップオフブレッドrip-off breadかな?いや、リップオフという形容詞は人につけるもので、モノではないような。。。
買わないことだ。いずれタピオカ店のように消えていく。それまで掘っ立て小屋ですら立派にみえるプレハブコンテナ店舗でテナント料を節約してぼろもうけしておこうということのだろう。
ワシントン・ポスト紙記事の「ぼったくり男爵」の原文はこちら
Japan should cut its Olympic losses, no matter what the IOC says - The Washington Post
Baron Von Ripper-off
Von Ripper-off, a.k.a. IOC President Thomas Bach
(おしまい)