人生の第三コーナーの衣食住

ライフスタイルブログ:インテリア、家のメンテ、ソーイング、失敗続きのパン作りなどをつづっていきます

信州安曇野ごほーでん(2018.08.25作成)

学生時代、「あずさ2号」という歌が流行った。

 

長野県は、軽井沢や上高地を抱え、きっと清廉な場所に違いない、と思っていた。高校の修学旅行は秋の信州だった。もちろん涼しかった。幹が白い白樺という木があるなんて。軽井沢の美智子妃殿下のきれいな、きれいなお顔とともに、信州への憧れ、幻想は深まる。安曇野(あずみの)、梓川(あずさがわ)の響きも耳に心地よい。

 

25年くらい前の夏、安曇野に行ってみた。清流でのみ育つといわれるわさび農園あたりを自転車で回った。ひたすら暑く、苦しいだけだった。軽井沢は避暑地かもしれないが、安曇野は山に囲まれた盆地で暑い。昼間は陽射しをさえぎるものが何一つないのだ。

 

民宿やペンションのガイドブックを見て、旅行に行った気分になっていた学生時代、安曇野の「ごほーでん」という印象的な名前の農家民宿が強く印象に残っていた。

 

インターネットの時代になり、「ごほーでん」も簡単に検索できるようになった。バストイレが共用なのは、この年になると辛いが、かなり割安だ。泊まるには抵抗があるが、そば処もあるというのでちょっと覗いてみた。

 

「御法田」という地名の、大王わさび農場に近いメインロードに面した、豪壮な建物だ。威風堂々たる門をくぐり、屋敷の座敷を覗いてみる。手入れの行き届いた、築何百年かもしれない豪農の館だ。昼は済ませたばかりなので、コーヒーだけと食堂の入口をくぐると、愛想よく迎えてくれる。そばを注文したお客さんには、コーヒーは無料だが、単品だと190円だという。セルフサービスでお代わり自由。

 

注文を取りに来たおねえさんは、そばを注文する客に出すはずの、キュウリやカボチャの漬物を小皿に山盛り持ってきてくれた。コーヒーだけだと言っても、小皿は持ち帰らない。唐辛子がきいた、新鮮な夏野菜の漬物だ。前日の、糸魚川の道の駅の高くてまずい食事(プラスチックのバケツでカニを食べさせられたのだ!)と大違い。外は暑いが、気持ちの良い午後のひと時だ。

 

「ごほーでん」の裏手に回ってみた。なんと、アマゾンプライムで暇つぶしに観た「高台家の人々」という映画の中で、綾瀬はるかが自転車で疾走する絵画のような風景が広がっていた。万水川という小川の土手が、この民宿のすぐ裏なのである。

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農家民宿ごほーでんの裏手


 

かれこれ40年以上前からある民宿が健在なのを確認し、映画で見た「一体どこなんだろう」と思っていた美しい風景を目の当たりにし、嬉しさこの上ない。ついでに、安曇野にあるニトリとカインズで探していた日用品も購入。なんとも実り多い夏の1日だった。   (おしまい)