人生の第三コーナーの衣食住

ライフスタイルブログ:インテリア、家のメンテ、ソーイング、失敗続きのパン作りなどをつづっていきます

アメリカって、結構遅れている

バイデンさんが勝ったと報道され、日本の菅さんを含めて各国首脳がバイデンさんに祝意を表明した。トランプ陣営がどう出るのか、よくわからない。

 

バイデン夫人のジルさんは、日本の短大のようなコミュニティカレッジで英語の教官をしているそうだ。少なくとも今世紀に入ってからは、キャリアウーマンは民主党大統領夫人ばかりだ。ヒラリー・クリントンは夫妻で黒い噂も絶えなかった敏腕弁護士だが、ファーストレディ→上院議員→大統領候補にまでなった。ファーストレディ時代は、正式な肩書がないまま、法案を議会で通そうとし物議をかもした。

 

次の民主党大統領オバマ氏夫人のミシェルさんも敏腕弁護士。母方が白人の大統領とは違い、両親ともアフリカ系。大坂なおみさんを含め女性の間でも人気の高い人だった。日本人の女友達で、私がミシェルさんについて、例えば「この間の演説は素敵だった」とか話題にすると、間髪を入れず「猿の惑星ね」という人がいた。

 

その人は、ある日本の女優さんについて私が「きれい」だとか演技がどうとか言うと、「あ、韓国ね」という人だった。たまたま一時期同じマンションに住んでいただけなので、互いに引っ越しをするともう連絡を取る気も失せた。

 

ミシェルさんは大統領の応援演説や女性の地位向上の演説をしても、政府の要人としての正式な地位はなかった。大統領の身内の女性が正式肩書を得て大統領補佐官になるのは、共和党のトランプさんの娘のイヴァンカさんだ。メラニア夫人が外国出身のモデルで、トランプさんの女性観は日本の自民党保守系の方と似ているが、娘には大甘なのだろう。

 

役人から国会議員になったある女性がいみじくも言っていた。頑迷で女性が働くことには全く理解を示さなかった日本の男性が、娘が働き、結婚し、子どもを産んで死ぬような思いで毎日過ごしているのを見て、初めて子育てしながら働く女性への支援の必要性に気づく、と。

 

イヴァンカさんは有り余るお金で何人もの家事手伝いを雇うことができるはずだから、トランプさんは娘の承認欲求を全面的に受け止め、娘婿も上級顧問とかで重用し、身内びいきの批判にも動じなかった。

 

私は、アメリカ人がコンプライアンス(規則遵守)だとか、ネポティズム(身内びいき)は良くないとか主張するるのは、人間は権力を握った後、自然に任せていると、ルールは自分が決める、信頼できる身内を登用して何が悪い、と北朝鮮みたいになってしまうことを知っているから、だと思っている。権力から弾き飛ばされる側にいる派が、権力者を抑制するために使う武器でもある。「水は低きに流れる」弱い人間性を知っての理想論なのだ。

 

もちろん日本よりも女性進出は進んでいるが、男女とも共働きで自立していれば夫の肩書で表に出る必要はないはずなのに、大統領選挙が終わると、現行の「ファーストレディ」に期待される最初の役割は、次期ファーストレディに連絡をし、ホワイトハウスに招いて家のことを伝授すること、だそうだ。時代錯誤も甚だしい。ハウスキーピングー家事は妻の役割だと思っているからだ。

 

普通の男性以上のキャリアと積んできたヒラリー・クリントンもミシェル・オバマもこの慣行に従っていたらしい。彼女たちがこんな旧態依然とした慣行に挑戦しなかったのは、晴れて夫は大統領選に勝利したのだから、つまらんことでエネルギーを無駄遣いする必要はない、という合理主義だと思う。

 

日本はもちろんそうだが、アメリカでも旦那の肩書がモノをいうのである。単身女性、あるいはヒモ的な配偶者を持つ女性が、自分のキャリアに自信を持っていても、夫のキャリアが素晴らしい女性の方が勝ち組なのである。

 

アマゾンキンドルで"Primates of Park Avenue"という本を読んだ。人文科学系の研究者である女性が、ニューヨークのバークアベニューのアパートに住んで体験した、女同士のマウンティング・バトルを綴っている本だ。primatesとは霊長類という意味。オスザルの世界で、アルファボス、参謀、忠臣、歩兵、はぐれオスザル等々のヒエラルキーを築いているように、パークアベニューというアメリカ屈指の高級住宅街で繰り広げられる、夫の肩書、資力を背景にした住民女性のマウンティング闘争である。

 

著者はあまり人種のことに触れていなかったと記憶するが、全員白人女性である。ニューヨークが舞台で資力がものを言うというとなるとユダヤ系も外せない。

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パークアベニューの霊長類たちー女ボスざるの世界

日本語版はこちら

 

www.amazon.co.jp

 

 

 

横柄な人をギャフンと言わせてスカッとする番組がある。夫の肩書、資力とブランド品こそ命、というMEGUMI扮するマウンティング女性とその取り巻きが威張り散らす。パロディ化が激しすぎるように見えるが、ニューヨークでも日本でも、霊長類の女性は同じ行動をするということがよくわかる。

www.fujitv.co.jp

 

 最高権力者の配偶者をファーストレディとして遇し、ネポティズム(身内びいき)も女性間のマウンティングも日常茶飯事のアメリカって、結構遅れている。というか、金持ち、権力者が偉いんだ、それ以外の基準はないのだという欲求に任せるとこうなる、ということなのだろう。

 

日本の「みんな違ってみんないい」なんてお花畑、乙女の祈り、と揶揄されそうが、アメリカ共和党的単純な価値観が、少し軌道修正されるならバイデンさんの勝利にも意味がある。コミュニティカレッジで移民に英語を教える先生が奥さん、というのはバイデンさんの男を上げる要素だ。

 

少なくとも、一回り以上若いモデルさんが3人目の奥さんで、娘はレガシー(親が同窓生だとその大学に入学しやすくなる)で有名大学(東部アイビーリークのペンシルベニア大学)に入った、というより心地いい。

 

同様に、森永創業家の、勉強が大っ嫌いなお嬢さんを選んだ安倍さんから、バツイチの議員事務所秘書を見初めた菅さんへの政権交代も、ちょっといい話だ。